■連載企画 ロースクールで教えてくれないこと
『快適オフィスのつくり方』
<第1回>
工夫次第で広がる快適オフィス実現の可能性
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最大公約数的に考える
ようやく独立の目処がつき、さてオフィスをどこに構えるかという問題は誰しも直面することです。裁判所の近辺というのが最もポピュラーな立地選択のように思われがちですが、自分が目指している事業の方針や得意とする事件分野なども考慮に入れた選択方法が良いでしょう。当然のことですが、法律事務所と言えどもクライアントがあってビジネスが成り立つわけですから来訪者にとって分かりやすい場所であることは必須条件です。ところで気になるのがオフィスの立地と賃料の関係。長引く不況を背景に借り手市場とは言え、やはり立地条件が良くメジャーなオフィスビルは少し高めの賃料設定になっています。因みに法律事務所が集中している西天満エリアや、その近辺の淀屋橋〜北浜間の賃料相場は以下のようになっています。
■西天満1丁目〜4丁目の賃料相場
規 模
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預託金(円/坪)
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賃料(円/坪)
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大型ビル |
134,776
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11,280
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中型ビル |
106,294
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9,687
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小型ビル |
86,967
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9,146
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■淀屋橋〜北浜エリアの賃料相場
規 模
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預託金(円/坪)
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賃料(円/坪)
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大型ビル |
137,085
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10,948
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中型ビル |
115,631
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9,970
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小型ビル |
89,124
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8,620
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※ビルによって共益費が別途に必要になります
大型ビル:ワンフロアの広さが100坪以上200坪未満のビル
中型ビル:ワンフロアの広さが50坪以上100坪未満のビル
小型ビル:ワンフロアの広さが50坪未満のビル |
共同経営で開業するなら話は別ですが、独立開業者のほとんどはスモールスタートで事業を始めています。オフィスの広さとしては、15坪(49.58u)〜20坪(66.11u)くらいが多いようです。この辺りの広さは、いわゆる小型ビル(ワンフロアの広さが50坪未満)から中型ビル(同100坪未満)に多く見受けられるオフィスですが、ビルのグレードや立地を優先して探した場合には仲々見つけにくいオフィスです。一方で十分なスペースを確保したいとう人には、少々グレードを落として(あくまで法律事務所=信頼、ということを前提にしたグレードの落とし方ですが)かつ、立地もそこそこにという考え方もあります。ただし、諸条件を最大公約数的に満たしても業務の性格上、セキュリティについては十分な配慮をしているオフィスビルを選ぶことが重要です。このように多様な視点からオフィスを探す場合、専門業者に依頼すると安心できる確かな推奨物件を選んでくれますし、時間の節約にもなります。
一人あたりのオフィス面積はどれくらいがよいか
- 20坪(66.11u)のオフィスレイアウト例 -
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社団法人ニューオフィス推進協議会(NOPA)の調査によると、最近の一人あたりのオフィス面積は10uが基準になっています。これは(一般執務面積÷執務者数)で算出したものです。ここでいう一般執務面積とは、オフィスの専用面積または契約面積から会議室や応接室、役員室をはじめ給湯室などのユーティリティスペースを引いた面積のことを言います。例えば15坪(約49u)のオフィスの場合、応接室兼用の会議室で約10uを占有した場合、残り39uで残りを賄わなくてはなりません。一例として挙げてみますと、
・書庫 約2u
・書棚 約2u
・コピー 約1u
・FAX 約1u
・プリンタ 約1u
・通路 約12u
ここまでで会議室と合算して29uですから残り10uとなり、セクレタリーを一人雇うのには少しきついのが分かります。セクレタリーがいない法律事務所というのは、現実的ではありませんからやはり20坪(66.11u)くらいのオフィススペースは必要になってきます。また、さらに広く使う方法として
● コピー、FAX、プリンタなどのOA機器は初期コストがかかっても1台で三役の複合機などを導入する。
(メンテナンスエリア含め1uで済みます)
● 書庫、書棚等は機能的で省スペースのスライド式を検討するなど工夫の仕方次第で限られたスペースを
有効に使うことができます。
次回はよく問題になる空調のあれこれについてお話しします。
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